★★★

ヒネル・サレーム「父さんの銃」

Hiner Saleem (2004) "My Father's Rifle"クルド人の映画監督(カンヌやヴェネツィア国際映画祭で高く評価されている)である作者が、サダム・フセイン政権下のイラクで過ごした少年〜青年期のことを振り返る、自伝的な小説。 クルド人は「独自国家を持たな…

アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」

Andrey Kurkov (1996) "Death and the Penguin"ウクライナの首都キエフ。売れない小説家のヴィクトルは、編集長から依頼されて、生前に書いておく死亡記事を書いている。ヴィクトルの心の友は、動物園から引き取ったペンギンのミーシャである。憂鬱症で心臓…

ヤスミナ・カドラ「テロル」

Yasmina Khadra (2005) "L'attentat" (The Attack) 「なぜ妻は自爆したのか?イスラムの哀しい夫婦の愛を描いた野心的傑作」(帯より)イスラエルのテルアビブ。アラブ人のアミーンは民族的な差別を乗り越えて、エリート外科医として成り上がり、妻シヘムと…

カーレド・ホッセイニ「カイト・ランナー」

Khaled Hosseini (2003) "The Kite Runner"「怪物なんていないよ」50ダースの色とりどりの凧が真っ青な空にあがり、上空を滑空したり旋回したりしている。子供たちは歓声をあげ、路地ではカイト・ランナーたちが敗者の凧をめがけて走っていく。依然としてわた…

ジュンバ・ラヒリ「停電の夜に」

Jhumpa Lahiri (1999) "Interpreter of Maladies"ありふれた日常の中にある違和感やすれ違いを提示して、2点間の距離が変化する場面をしっかりと描写した作品群。繋がっていたのが離れたり、閉じていたのが開いたり。 ほとんどの作品では、何かが足りずに満…